韓国カルチャー解析

これまでにない角度で韓国カルチャーを解析

キュヒョンの人気曲「光化門で」の歌詞にある街路樹はどこのことなのか?

韓国の人気アイドルグループ、SUPER JUNIOR(スーパージュニア)のメンバー、キュヒョン(규현)。その愛らしい顔立ちもまた彼の人気の理由なのだろう。2019年1月現在は入隊しており、社会服務要員として勤務中だという。

 

  
ところで、キュヒョンはソロでも活動しているが、「光化門で(광화문에서)」というバラード曲が好きな人は多い。この光化門とは、朝鮮王朝の正宮として建てられた景福宮の正門である。1度、2度ソウルを旅したことがある人なら、出かけたことがある場所だろう。
 

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 その曲の歌詞にはこんなくだりがある。   
"광화문 가로수  은행잎 물들 때"(クァンファムンカロス スネイプ ムルトゥルッテ)
光化門の街路樹、銀杏の葉が染まるとき
さてこの光化門の街路樹、一体どこを指すのか考えたことがあるだろうか?特に深く考えなければ、光化門の街路樹とは「光化門広場」の両側にある木々だと考えればよいのだろう。
 
しかし光化門前の道路と広場は、あまりにも広すぎて、街路樹のインパクトがあまりにも薄くはないだろうか。パッと見ただけでは街路樹が目に入ってこないのだ。
 

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光化門の前の道路が現在のように広場となったのは、2009年のことである。それ以前は世宗大王の像はなく李舜臣将軍の像だけがあり、その像の後ろで今は広場となっている中央分離帯の場所は、イチョウの街路樹が連なっていた。
 
「光化門で」の作詞・作曲・編曲を担当したのは、1976年生まれでSMエンターテインメント所属のソングライター"Kenzie"だ。それならば過去の光化門の姿を知っているはずなので、この街路樹は中央分離帯にあったもの、という可能性も十分あり得る。
 
だが、別の説も考えられる。
 
●ミュージカルの題にもなった『光化門恋歌』
 
下の映像は、キュヒョン自身が光化門へ行き、寂しい人に「光化門で」を歌ってあげる、という企画を撮影したものである。
 

 

youtu.be

この映像のなかでキュヒョンは「大韓民国で寂しい人が最も集まるという光化門へLet's GO!」と言っている。しかしそんな話は初めて耳にした。光化門は悲しい人が集まる場所なのか?
 
おそらくこのような悲しげなイメージがついたのは、イ・ムンセ(이문세)が歌う1988年の『光化門恋歌』ではないか。この曲はバラード曲なのだが、別れの歌である。
 
しかしこの曲の1番に出てくるのは光化門ではなく、徳寿宮の横にある「トルダムギル(돌담길)」、つまり石垣道だ。ここは秋になると銀杏並木が美しい。そして歌詞のなかでは、2番に光化門ネゴリ(交差点)というフレーズが出てくる。
 

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私としてはむしろ、徳寿宮のイメージが強く残っており、「徳寿宮恋歌」というタイトルでもよいのではないか、と思えてくるのだが、もしこの曲をモチーフにしたというならば、「光化門で」の銀杏並木は徳寿宮の横のことを指すのだろう。
 
景福宮の東西にあるイチョウ並木だろうか?
もうひとつ考えられる場所があるとすれば、景福宮の東西にある道である。ひとつは景福宮の西側で大統領青瓦台へと向かう孝子路(ヒョジャロ)、もうひとつは東側、三清洞方面に向かう三清路(サムチョンロ)である。
 

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[地図] 
 
ここにも木々が並んでおり、秋になると木の葉が黄金色に染まる。「光化門の街路樹(광화문 가로수)」というには少し離れた場所で、むしろ「景福宮の街路樹」のほうが言葉としてはふさわしいかもしれない。
 

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結局はどこの街路樹をイメージしたものなのかは、作詞者のみぞ知ることだ。だが光化門あたりを散策をするときには、「この街路樹はどこを指しているのだろうか」と、考えながら歩いてみても面白いかもしれない。

  
著者:@tomhangeul